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「サンケイビズ(SankeibBiz)」に掲載されました(2020.05.25)

「サンケイビズ(SankeibBiz)」に記事が掲載されました。

 

『SankeiBiz』2020年5月25日掲載記事より

相続(下)「節税対策一辺倒」の落とし穴

目先の損得より「未来予想」を

賢い相続をする秘訣(ひけつ)として、司法書士の野谷邦宏さんは遺族、相続人の「同じ目線」が大事だと強調する。「遺産はみんなの将来のためのもの」という気持ちを「全員で共有してほしい」と話す。「争族」を避けるだけでなく、こうした意識が遺産を有意義に生かすことにつながるからだ。

最も陥りやすいのが、損得にこだわった「相続税対策の一辺倒」による落とし穴だという。相続税の納付額を計算したある一家で見てみよう。

「二次相続」の罠

この一家は、総額1億円相当の夫の遺産を、妻5000万円(1/2)、子供2人がそれぞれ2500万円(1/4)の配分で相続した。実際に納付する相続税は妻143万7500円、子供がそれぞれ71万8700円となった。

子供たちが注目したのが妻は「配偶者の税額軽減」という制度だ。(1)1億6000万円(2)配偶者の法定相続分相当額-のどちらか多い方の金額まで相続税がかからない。

「だったら全部母さんに相続してもらい、一家の納税をゼロにしようよ」「そうだね、介護の資金にもなるしさ」と子供たちは知恵を働かせたのだが…。

パターン1
【母親が配偶者控除をフル活用】→二次相続で納税額がアップ
一家は母親が1億円の遺産をすべて相続した。だが、忘れてはならないのは、後に母親が死亡すると、子供たちへの「二次相続」が発生することだ。一家の母親は不幸にして、遺産を使わずに亡くなり、丸々1億円(自宅の価値が変わらない場合)の「二次相続」が生じた。

これを相続する2人の子供の課税遺産総額は、基礎控除4200万円(3000万円+2人×600万円)を差し引いた5800万円。納税額を割り出すと1人385万円、2人で770万円となった。

パターン2
【一次相続は法定相続分で分割】→二次相続でなんと!
一方、父親の遺産を法定相続分で分割して相続していれば、母親は配偶者控除で相続税ゼロ。子供2人の納付額は前述の通り各71万8700円、合計143万7400円となった。

その後、母親の死亡による二次相続は5000万円相当。基礎控除4200万円を引いた課税遺産額は800万円に。子供2人の納付額は1人40万円、合わせて80万円となった。

チャートの通り、パターン1のように1次相続で“節税”にこだわりすぎると、2人が納める相続税は、パターン2よりも計546万2600円も多くなってしまう。

ただ、母親が長生きし、一次相続の1億円を6割使って亡くなれば、二次相続は4000万円。課税遺産額は基礎控除4200万円を引いたマイナス200万円。つまり、子供2人は非課税となる。

全員で意識共有を

野谷さんは「配偶者控除“一辺倒”という相談がよくあるが、総合的に検討してみて、見直しを提案することが多い」と話す。目先の損得に目を奪われず、冷静に「未来予想」する感覚が必要だ。

その意味では、「有効活用の一辺倒」も要注意だ。自宅などの立地がよいからと、生前にローンを組み、ビルやアパートに建て替えて遺産を投資運用する方法だ。

負債は相続税対策にもなるが、相続人全員で利益や幸せを分け合えるだろうか。相続人の中には、「大きな収益なんていらないけど、子供の学資などちょっとまとまった現金がほしい」という人、逆にビルなどの運営を任されて、負担を一身に背負う人などがいるかもしれない。

「相続人全体の思いをよく考えるべきだ。ビルを相続した人が亡くなり、ローンも残っていれば、『誰が引き継ぐの?』ということになりかねない」と野谷さんも警鐘を鳴らす。

 

「家族の幸せ」で比較する遺産配分5つのパターン

夫が死亡 妻と子供、遺産は自宅と金融資産

1:法定相続分通りに相続
・良い点
相続争いが起こりにくい
・心配な点
自宅の売却に共有者全員の合意と手続きが必要

2:妻が全財産を相続
・良い点
妻の生活が安定。一次相続で相続税がゼロ
・心配な点
子供が一切、財産を取得できない。二次相続も踏まえると、必ずしも得ではないケースも

3:子供が全財産を相続
・良い点
二次相続も踏まえると、有利になることも少なくない
・心配な点
妻が一切、財産を得られず、生活や居住に支障も

4:妻が自宅と当面の生活費を相続
・良い点
妻が自宅で暮らせる。子供も金融資産を相続、相続争いが起こりにくい
・心配な点
将来的に妻の生活費が足りなくなる可能性がある

5:妻が「配偶者居住権」を取得
・良い点
妻は自宅で暮らせる。子供も自宅の所有権を取得できる
・心配な点
子供は居住権を持つ母親の合意なしに自宅を売れない

新しい相続の形「家族信託」 元気なうちに財産管理や処分を託す

最近、「新しい相続の形」として注目されているのが「家族信託」(民事信託)だ。

元気なうちに息子や娘など信頼できる家族に財産の管理や処分を託す。

「テレビでも取り上げられ、電話の問い合わせが相当ある」(司法書士の野谷邦宏さん)という。

「生前・死後事務委任」は主に、家族のいない人や家族に負担をかけたくない人に適している。生前に判断能力が不十分になったとき、財産管理や運用を家族や信頼できる第三者に委ねる「成年後見制度」(任意後見制度)もある。

家族信託では、父親が長男に「遺産はお母さんの生活費に使ってほしい。お母さんが亡くなったらおまえが預かり、おまえの死後に孫が受け取れるようにしてほしい」といった具体的な指定ができる。

長男が同意したら、口約束ではなく、書面で「信託契約」均等を結ぶ。財産を任せる父親が「委託者」、任せられる長男が「受託者」、利益を受ける長男の母親と子供が「受益者」となる。

このほか、(1)委託者が認知症になったときの財産の運用方法を指定する(2)障害を持つ子供の生活費として遺産を管理してもらう(3)「土地を何代も引き継いで」など、遺言ではできない将来の運用を指定する-といった活用法がある。

このほか、公的に提出する書類や複雑な手続きがなく、大きな費用がかからないこともメリットだ。

それだけに、内容をしっかりと詰め、署名・捺印(なついん)した信託契約書は公正証書として残すなど、将来の家族トラブルを避ける配慮も大切だ。

野谷さんは「家族の状況次第で家族信託、任意後見制度、遺言、あるいはそれらの組み合わせなど、多様な選択肢がある。ぜひ専門家に相談してほしい」と話す。(『終活読本ソナエ』2020年新春号から随時掲載)

 

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